Mick Sawguchi & 塾生が作る サラウンドクリエータのための最新制作勉強会です
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July 5, 2005
第24回サラウンド塾 FM YOKOHAMA開局20周年記念 SRS方式によるサラウンド制作 柳浩一郎、西本憲吾、橋田裕造
By Mick Sawaguchi 沢口真生
2005年7月3日 マランツ恵比寿ショールームにて
テーマ:FM YOKOHAMA開局20周年記念 SRS方式によるサラウンド制作
講師:柳浩一郎(FM YOKOHAMA技術部長)西本憲吾(Vivid)橋田裕造(YAMAHA)
ショールームアテンド:鈴木(マランツ)
沢口:参加申し込みが三鷹の我が家の定員を超えましたので!!!、マランツ鈴木さんのご好意で昨年11月以来の持ち出し寺子屋を恵比寿マランツのショールームで行います。40名をこす参加の方々で初参加の方もたくさん見えました有り難うございます。今回はFM局でのサラウンド制作というテーマで行いますが、近年アメリカやヨーロッパでデジタルラジオアピールへ向けたサラウンド化が取り組まれています。国内でもTOKYO FMがコマーシャルFM局としては先駆的に取り組んでいますが、今回は、FM-YOKOHAMAの取り組みについてデモと講演を行っていただきます。
制作実現までの経緯
柳:FM YOKOHAMAの柳です。今日は、FM YOKOHAMA開局20周年のタイミングで取り組みましたFM放送でのサラウンド制作についてお話させていただきます。我々の技術スタッフは4名ですべての事をやらなければなりませんので今回の制作の実際についてはVividの西本さんにお願いしました。現在各種ジングルやコンサートLIVEなどに取り組んでいます。
これが実現するまでに1年かけてサラウンド啓蒙活動を社内で実施し技術以外のセクションにサラウンドの優位性をアピールしました。今後は、技術も単なるオペレートだけでなく、営業センスを持ったスキルが必要な時代だと思います。その後スタジオテスト録音やSRSエンコード/デコードによる夜間オンエアテストを行いこれなら既存の設備に多少の追加を行うだけで十分いけるという確信をもてました。サラウンドで放送するためのアーティストやプロダクションへの普及努力も我々で行いました。FM YOKOHAMAは4名の技術しかいないというファミリーですが、いいものを提供して行く努力は社内でやりたいと考えています。今後は、横浜をアピールできるような中継やCMなどにも前向きに取り組みたいと考えています。では、実践編を西本さんにお願いします。
制作の実際
Vividの西本です。今回の制作を担当しましたのでまず、最初にいろいろなジングルを聴いてみてください。
◎ 横浜の港をイメージしたジングル。これは地図を参照してもらうとわかる と思いますが、横浜港の海の上で聴いているようなデザインにしました。
◎サーフィンのイメージ:サーファーの眼前を波が過ぎて行くイメージ
◎音楽ジングル/波の中で音楽が漂っているジングル
◎横浜はJAZZの街なのでJAZZのリハーサルルームに入り込んだイメージ、JAZZクラブのイメージです。
デザインコンセプト
FM YOKOHAMA初のサラウンド放送ということでまず、サラウンド感を十分にいかせる構成としました。今回使用した、方式はSRSという方式でその特徴をどうやったらうまくいかせるか?をカット&トライで行ってみました。SRS方式は5.1CH サラウンドをデジタル領域で2CHにまとめてしまうマトリックス方式ですので各チャンネルが独立したディスクリートにくらべ幾つかの注意点があります。
ジングル-1のデザインコンセプト
山下公園の沖合をリスナーポイントとしてデザイン。ロケーションはSANKEN CUW-180のサラウンドマイキングとFOSTEX PD-6で収録。最初は、イメージにあった全体の音がとらえられるまで粘りましたがどうしても現実はうまくいかないので、素材のパーツ別で収録しそれらを組み上げて行くことにしました。私は、今までの経験から5.1CHは、横の情報がうまくでにくいと感じていましたのでCUW-180ペアの4CHに加えAKG C-451でサイド情報をピックアップし計6CHで実施しました。当初定位重視のマイキングとアンビエンス重視の2タイプで実験しましたがディスクリートサラウンドでは意図した相違が現れますがSRSエンコードを行うとクロストーク成分が発生するため当初の意図は不明確となりましたので結果的には機動的なロケーションを行えるCUW-180ペアによる4CH録音というシンプルなマイキングで実施しました。MIX-DOWNは、NUENDO+SRS/ENC-DEC(これはPCプラグインソフト)でモニタリングしながら実施。大変シンプルなシステム構成で行いました。
音楽ジングルのサラウンド
音楽制作については、ディスクリートサラウンドMIXをそのまま使えないというのがマトリクス方式のデメリットなので欠点のでないサラウンドMIXのためにどういった音の組み合わせにしていくのか?が課題。JAZZのピアノトリオの場合、3つを独立した音場にしてもマトリックスではうまくいかないのでまだまだ課題。サラウンドMIXのダイナミックスは2CHに比べて十分広いがFM放送では音圧競争に入っているのであまり広いダイナミックレンジはとりませんでした。
これらの経験から言える事は、1980年代からのマトリックスサラウンド制作で経験したノウハウは、現在でも十分通用することです。逆相の扱いやモノーラル/ステレオとのコンパチ、レベルの大きいところに定位が動くというステアリング回路の動作や響き感の相違などです。
音楽LIVE HITOMI YAITAコンサート
極力ハンディでシンプルな収録システムで行うことを前提にしています。特にFM-YOKOHAMAクラスの放送局では大型録音車や録音ブースを専用に設置して収録を行うといった規模での制作は大変限定されます。今回は、フロントのBAND録音は、通常のステレオ録音と相違ない配置とマイキングでAUDマイクは8CHを使用し4CHペアを2組設置しON/OFFを構成しています。現場ではサラウンドモニタリング環境を設定せず、24トラックで個別録音としています。全体の仕上げは、客席10番目くらいで聴いているイメージでデザイン。今後音楽のLIVE サラウンドは、アンビエンス重視だけでなく音楽的な組み合わせをどう表現して飽きさせない音場を作って行くかが課題かと感じています。
以下質問項目概要です。
Q1:音像がレベルによってすこし動くがこれはマトリックスだから?
Q2:車で聴く場合、どこをポイントに?
Q3:海の中でどう録音した大変だと思うが?自分でマイクをかついで録音?
Q4:WHY SRS?
A:T-FMの先例があるのは心強い。扱いがシンプルだ。6-2-6マトリックスで低域管理もやるので簡便である。LFE/C-CHがSRSでは自動生成される。ステレオでいいバランスにしておけばサラウンドでもいい感じになる。これは小規模な放送局での制作システムとしてはメリット。
Q5:ラジオ局の音圧競争はなくならない?
Q6:今回のサラウンドSRS放送の事前PRはどの程度?デコードモードは:MUSICモードで?あるいは CINEMAモード?
Q7:プロダクションとの交渉?たいへんだったと想像するが?
A:最初は、PA-OUTでいいと言う感じだったが。舞台監督ともスケジュールなど綿密に打ち合わせして進行も通常並みでステレオ制作で支障がなければいいという感じで実現した。トラックダウン時にステレオ/サラウンドを比較視聴してもらった結果サラウンドも意外といけるという感想を持ってもらったので成功だったと感じている。
Q8:山下公園のデザインコンセプトは?Dolby PL-2やDTS-NEO6などとの互換性は?
など活発かつ現実的な質問や互換性チェック試聴まで行いました。
恒例WINE PARTYでは、冨田さん持参の山田錦の焼酎に木村佳代差し入れの金沢の自然水で夜更けまでのサラウンド談義となりました。初回参加のみなさん、興味をもたれたら次回も是非どうぞ。その後ミュージシャンとサラウンドというテーマでメールが飛び交ってます。
WINE PARTYの冒頭で私の定年とパイオニアでの新たなスタートを祝ってアメリカのレコーディングの仲間がお祝いのメッセージと花束を届けてくれました。寺子屋メンバーのご配慮感謝です。(了)
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「サラウンド入門」は実践的な解説書です
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