By. Mick Sawaguchi
2008年10月26日 三鷹沢口スタジオにて
テーマ:野外音楽イベントでのサラウンドのススメ
講師:相原 耕治(Syn-phonic5、国立音楽院講師)
沢口:2008年10月のテーマは、野外イベントのサラウンドです。たぶんこれを取り上げるのは、富田勳さん以外、初めてだと思います。野外というスケールの大きなイベントでのサラウンド音響表現は、大変面白い分野だと私も思っています。本日の講師は、シンフォニックファイブの相原さんです。相原さんはご自分で色々なサラウンドの音楽制作をしたり、イベントの企画とか、ある時は、ステージマネージャーもやっているやっているそうで、国立音楽院で先生もされています。今回は2007年9月7日に千葉県柏市の布施弁天で行った「未来への贈り物」というシンセサイザーサラウンドコンサートの企画から実際までを例に講演していただきます。それでは、よろしくお願いします。
相原:まずは自己紹介からしたいと思います。私も寺子屋のホームページを眺めていまして、50回以上やっていますから、今までのを見れば色々なジャンルが取り上げられており、私もこの寺子屋へ参加したいなぁと思っていました。そして2007年のInter BEEで初めて沢口さんと話す機会があり、以来この寺子屋へ参加しています。僕は、一流のプロの皆さんの話を聞いて勉強したい、ノウハウなど色々なことを学びたいと思っていたんですけれども、逆に野外でサラウンドやっているなら、講師をやってくださいということで今日はこちら側に立たせて頂くことになりました。ですから、今日は頑張らせて頂きたいと思います。(一同拍手)
[サラウンドコンサートへの夢]
相原:野外イベントにはお客さんが居らっしゃいます。お客様に夢を見ていただくのが仕事です。これはコンサートホールも同じ事なんですけれども、自分にとってのサラウンドコンサートとは夢です。それが私の行動力の源になっていると思います。私が中学生の頃、当時YMOがはやった時期でした。シンセサイザー奏者の藤掛廣幸さんのサラウンドのチラシを見ました。チラシを見るとBOSEの802スピーカをつかって4chコンサートをやるというものでした。当時の私は4chとは何だろうと思いました。
1983年「訪問インタビュー」というNHKの番組で富田勲さんが「サウンドクラウド」の話をされていました。当時高校生の私はそんなすごい事するんだ!と本当に感動し興味が湧きました。そして自分もこんな風にコンサートを出来たらいいなぁと思っていました。この時から夢を見ていました。また、その頃やっていたのが筑波万博です。音場について面白くできているコーナーが沢山ありました。どこの音響のパビリオンも面白かったです。その後、富田勲さんの「サウンドクラウド」をCDでよく聞いていました。後はホロフォニックス、2chの立体音響なんかにもはまっていました。栗原さん(大阪芸大)も立体音響のコンサートをやっていたのですが、実際行けなかったのでチラシは今でも大事にとってあります。それから初めて冨田勲さんの「サウンドクラウド」を体験しました。岐阜でした。その後の横浜にも行きいろんなアーティストのコンサートもチェックしていました。それから初めて野外でイベントをやった時が1997年でした。この時はBOSE802が4発あったにもかかわらず2chでやりました。本当は4chやりたかったのですが。DAWにもこの頃はサラウンドレコーディング機能がなく、MIDIだけだったので、できませんでした。
[野外でのサラウンドの利点]
・開放感が良い。
・サラウンド=天然のサラウンド。空間的3D。
・自然による演出がしやすい。(例えば、マチネでの夕焼けなど)
・お客様が夢から覚めにくい。
・演出空間が広がる。拡大できる。
などが魅力だと思います。
そして今回私が話をいただいたのが千葉県柏市の布施弁天でした。まずサラウンドとは直接関係ありませんが布施弁天の説明をさせて頂きます。
[紅龍山 布施弁天 東海寺(真言宗豊山派)]
上野(不忍)、江ノ島、布施弁天は関東三弁天といわれています。弁天様は琵琶を持っている事から、音楽の神様です。音楽の神様の前で音楽のイベント出来るなんてこんな光栄な事はないので本当にありがたっかったです。東海寺は「亀の甲山」と呼ばれる丘に、竜宮造りの桜門(ろうもん)や、多宝塔式鐘楼(たほうとうしきしょうろう)と珍しい建物があり、千葉県の重要文化財に指定されています。
[多宝塔式鐘楼(たほうとうしきしょうろう)]
鐘楼は文化15年(1818年)に建てられました。12本の柱には十二支の彫刻を配し方位を示しています。設計は伊賀七が行い、現在も設計図が子孫に保存されています。第二次世界大戦中、鉄不足のため鐘を切断して外され、持っていかれてしまいました。終戦後、昭和33年に鐘を吊るす事になったが建物に入らず、設計図を見て鐘楼を分解し、鐘を吊るし再度建物を組み立てたそうです。その現場を幼年の頃に見たという人が、現在の東海寺の総代を勤めていたため、この鐘の音を生で総代に突いてもらいイベントに活かしました。また、住職の唱名のステージとしても利用しました。
[紅龍山 布施弁天 東海寺に伝わる伝説]
この伝説がまたサラウンド向けなんですよ(笑)
①大同2年(807年)7月7日、嵐の夜に紅い龍が西より現れ、沼に土の塊を落として去ってゆく。
②塊はたちまち島(亀の甲山)となり、大地が揺れ続き、夜には島の一角から不思議な光が差しはじめる。
③里人が光に導かれ島へ渡ると、その場所に3寸ほどの仏像があり、里人は小さな祠を建て祀った。
④空海がこの地を訪れ、その仏像が修行時代に、自分が彫った物である事を知り、この地に寺を建てた。
これが現在の「紅龍山 布施弁天 東海寺」となる。
[布勢弁天でのサラウンドイベントの目的]
*今回の場合サラウンドをどうアピールしたか?
・シンセサイザーのコンサートを行ってほしいと依頼されました。
・伝説をもとにストーリーを構築する。
・ストーリーでサラウンドの音場効果を説明する(西から龍、地震など)本当に竜が飛ぶように演出
・住職に唱名をお願いしました。(サラウンドの効果を説明)
・総代には鐘を鳴らして頂くようお願いしました。(音源の中に鐘の生音が入る事をアピール)
・弁天様の役を誰かに演じてもらう。女性の方にやって頂いたきました。(弁天様が歌う効果をアピール)
・布施弁天を360度で演出するため、野外のサラウンドではないと表現できない世界。野外でのサラウンド利用の最大のメリットでした。
*今回の目的
・コンサートを行う事で、布施弁天をアピールし、新たな客層を増やすことです。
*その場所ならではのイベントにするためには
・そこにまつわるものを可能な限りストーリに応用する。
・歴史や伝説、建物の特徴を生かして計画しました。曲や曲順にも影響します。
ホールで世界を創るのではなく、その場所がすでに世界になるように考えました。
*メッセージ(伝えたい事)
・音楽やサウンドを通して、自分の思いをお客さんに伝えます。
・映画と思われる可能性もあるので、チラシに音楽サラウンドである旨説明文を添えました。
*主催者にサラウンドのメリットを説得
・サラウンドにする事で、主催者にどのようなメリットがあるか説明します。
・主催者の気持ちを考えるること。→ どうしてこれをやるのか。
・観客の気持ちを考えるること。→ これはすごく大事な事です。
↓
それにはやはり下調べが大切です。
・会場の特徴や地形 ※これにより当然サラウンドプランも変わってきます。
・その地域の伝統や文化、方言。その場所で活かせるものを取り入れた方が良い発想が生まれるのではないのかと思います。
・地元の共演者
(出身の方を呼んだりすると喜んでくれる事が多いです)
*今回の場合(予算内でまとめるために)
実行するための機材はなにか。今回の予算から優先順位で、サラウンドを優先に範囲内におさめていきました。
・照明装置に影響がでてきます。演出にも影響が出ます。
↓
対策:映像をつけました(知り合いに依頼、自前のプロジェクター使用しました)
なお、製作中だったので同期はせず、マニュアルでイメージ画像とタイトルをループで再生しました。ちなみに、全体の予算の半分は照明に費やしました。
[野外イベントでの注意点]
サラウンドにかぎらず野外イベントを行う場合に必要な項目を述べておきますので皆さんも参考にしてください。
*リハーサル:野外の照明リハーサルは前日に行うのが理想です (ただし、リハーサルは夜しかできません。昼の太陽が当たっている状態では照明、映像がどのくらい色が反映されているかわからないからです。)
*レーザー:スピーカーのセットで使うレーザー距離計のポイントが昼だと見えにくいのです。注意しましょう。
*天候と雨天時の対応:リハ、本番、予備日を考え、3日間は機材とスタッフを押さえるのが理想だと考えました(今回は1日だけでした。神に祈るようなような思いでした)
*本番日の告知:小雨決行、雨天延期、雨天中止、荒天順延など告げる、伝える事もしておきましょう。
*ワイヤレス:タクシーや警察、違法無線などの電波を拾う可能性もあるので注意。予備チャンネルの確保しておきます。
*電源の確保:サイレントジェネレータを使用し、会場から離れた場所へ設置。※離れたという事はケーブルも長く敷くという事なので、つまり抵抗がかかります。出力が弱まってしまいます。なので、ジェネレータでは少し高く設定していました。
*壁のない空間:アコースティックな残響がない(少ない)建物がある場合、反射するので、特に音出しテストを行うのが理想です。対の建物等は壁が平らな場合、フラッターの可能性もある。ガラス張りの建物などは反射がしやすく、鳴き竜がおこる可能性もある。
*音が逃げていく:ストレート音だけの音場になりやすいです。
*風による影響:追い風や向かい風で伝わる速度が変化したり、横風で曲がる。スピーカを吊るすと揺れるため、指向性が変わり、うねりを起こすことも。
*音速の問題:広い会場では、340mにつき1秒遅れる事を考慮する。VIP席に合わせディレイで対処するしかありません。ピンクノイズでチェックしました。
*ドップラー効果:演出で乗り物を使う場合など、遅れと共に考慮する。あらかじめピッチを変えて制作、ハーモナイザーでリアルタイム処理する。
*ハース効果:設置条件で距離が変る場合も考えられるので、同じ音は出さない方が無難では?
*樹木など影響:音が木や葉に当たり、散乱や吸収をすることもあります。
*やまびこ:会場によっては、山びことなって返ってくる事も考えられる。小さい音なので気にならない?
*音圧レベル:オールパスレベルで85dBC (富田勲さんのサウンドクラウドでは100dBCだったそうです) を目安にした。音は抜けるのでメーターに頼りつつも、今回は客観的に聴いて決定しました。
*自然ノイズ:季節や場所により、環境ノイズは変わるが、自然に発するものは、心地よい音が多いと思います。
*人工ノイズ:ヘリコプターや緊急車両などはやむをえない。(フライトプランはパイロット自身に委ねられている)
*近所の苦情:音響機器を使うため、近所周辺へは理解をしてもらうようお願いをします。(今回は周りが田んぼばかりで大丈夫でした)
*海や港で野外照明を使う場合:灯台と間違える可能性があるので、会場最寄りの海上保安部などへ相談しておきましょう。
*火を使う場合:火や煙を使う演出で、火事と間違える可能性がある場合、会場最寄りの消防署(予防課)へ届けを出す。ホールなどでは禁止行為解除承諾申請書を提出しましょう。
*道路が混雑する場合や、道を封鎖して会場として使う場合:交通整理、誘導の必要があるため、会場最寄りの警察署へ届けを出しましょう。
*道路の目隠し:近くの首都なる道路から会場が見えると、見物しながらの運転となるため、橋や高速道路では壁に目隠しをする事も必要です。
*日周運動:機材の放熱、LED表示など見えなくなることもあります。演奏者がまぶしく演奏できない場合もあります。
*生楽器:空調、温度湿度、直射日光、譜面灯、風の対策(譜面が飛ぶ)
*モニタ環境:イヤホンでドンカマ(クリック)を使う場合は問題ありません。モニタースピーカー使用の場合は、壁がないので出力に余裕を持たせます。
*客席:パイプ椅子、ござ、場所取りなど、携帯椅子を購入して頂くこともあります。
*有料の場合:有料エリアの確保、警備員を配置を考えましょう。
*トイレ:最寄りの公共施設の利用(協力を求める)、仮設トイレの設置も大事です。
*その他:控え室の確保、ゴミ箱の設置なども必要です。
[音場プラン]
4チャンネルサラウンドは、ピンポイントの再生が不自然になります。その場合後ろをサラウンドアレイにしてしまえばいいのではないでしょうか。障害物、建造物、木などある場合はこのやり方をすればいいのではないのかと思います。今回は4.1chでベースにしましけれども、弁天様が歌うという事をしたので、それは弁天チャンネルと呼んでいました。弁天チャンネルはそのシーンの為だけに本堂に設置させて頂きました。弁天チャンネルはエレクトロヴォイスのSX300です。CMでもないし、映画でもなく、セリフがありませんのでファンタムセンターでいいのではないかと思いました。
オペレータの方がべースマネジメントの機能をご存知でなかったため、ベースマネージメントは使用しませんでした。当日はスタッフ9人くらい。他にもボランティアの方々が来てくださいました。ありがとうございました。野外では演奏者はドンカマ(クリック)を基準にして演奏します。
やっぱり野外でPAして録音することはできないので、あらかじめ予備として音源をもらっておいたり録音しておいた方がいいと思います。そうなると口パク状態になってしまうんですが、広いエリアでのオーディオを聴くような環境で考えれば有りなのではないかなと僕は思います。
d&bのQ7サブウーハーはQ-subでした。サブウーハーが全てのチャンネルに付いていました。
弁天チャンネルはエレクトロヴォイスのSX-300を使いました。音素材の送り出しの機材はタスカムDA-38でやりました。トラブルがあった時の為にMacBookとオーディオインターフェースを用意をしておきました。何がおこるかわからないのでDVDにも音源を焼いておきました。コンソールはYamaha DM1000を使用しました。何か音源に問題があった時など、いざという時の為にシンセサイザーで効果音を作っておきました。風の音とか水の音とか一応作っておいて、問題が起きたときにこの音で繋いでもらって、その間でなんとかするように用意しておきました。音源制作ではミキサーは使っていません。ダイレクトで行ってしまいます。必要な時は使いますが、なるべくLineでとれるものはインターフェースにダイレクトで入れた方が音がいいと思っています。
デモ(映像)
[本番を終えてからの反省点]
音量的には問題ありませんでした。演出も好評でした。
*リアスピーカーの位置の検討。
*スピーカーのセレクト。
*音質的な問題。Lowが足りない、抜けが悪い。
*音調整でもっとつめれば良かった。スペアナは見てなかったです。ピンクノイズは出したんですが、音圧系と耳で聞いた感覚で行きました。
*照明がトータル的に暗かった。(本番の時間帯の夜に)リハーサルが出来ませんでした。
*映像の色が左右で合ってない。
*映像が小さい、曲がっている。
*本堂チャンネルとLs(Lサラウンド)が重なり効果がはっきり現れなかった。リバーブを他のスピーカーから出したため。
*今回はサラウンドアレイで拡散させた方がよかった。
*MIDIプログラムの音の処理、フレーズのブレスがないなど、本物ぽく作りたかったのですが、時間の問題で、出来ませんでした。
*プログラム(印刷)の予算がなくコピーで代用しましたが、きちんと印刷すべきでした。
[音響 担当のかたからいただいたアンケートの結果]
Q.サラウンドのコンサートは他にありましたか?ある場合どのようなイベントでしたか?
A.コンサートではないですが、自社スピーカーを提供した仕事は2件ほどありました。2件とも5.1chで映画の試写会でして、SHIBUYA AXと日比谷野音です。
Q.サブウーハーを4発用意した理由は?
A.野外ということもあり、音が溜まらないことは予測できていたので全体的にカバーしてみました。
Q.スピーカー選択としてd&b Q7とQ subを選んだ理由などありますか?
A.自社のメインシステムであることが第一ではありますが、再生する情報量は自社保有の機材のなかでは一番優れているという点を重要視した結果でした。
Q.サラウンドのイベントの音響をご担当された感想、発見、反省点、などありましたら参考のため教えて下さい。
A.当時、私自身あのような仕事は初めてに近いものだったのでとても勉強になりました。当時感じた事は、野外の広い場所でのサラウンド用(特にリア)のスピーカーは2箇所くらいスピーカーを立てたほうが、より音場が広がりそうな気がしました。私自身、音の発生箇所がピンポイントすぎて意識して聞いてしまったような感がありました。あのような野外の場合、意識せず自然に体感できる音場を提供するには再生箇所を増やすのもありなのかなと感じました。
[反省点]
今回、サラウンドスピーカーが後ろ向きだったのですが自分の方に向いているとアラだらけだったのと、お客様がどういった状況で聞くかわからないので、後ろを向いて編集(確認)をする事も必要になると思いました。
[音楽鑑賞とサラウンドを関連づけるには]
一般の人が考えるサラウンドは映画館、もしくは映画ソフト再生のイメージでしょう。音楽再生といえばCDか音楽配信だと思います。DVDはどうでしょうか?映画やコンサートの鑑賞だと思います。音楽番組はサラウンドをもっと再生してほしいですね。また、録画するので録画の対応を分かりやすしてもらいたいです。CDのマトリックスでは音質があまり良くありません、4chまでしか入らないと言う弱点があります。またDVD-videoはロッシーということで音を欠落されるのをアーティストが嫌がります。DVD-Audio、SACD、BD(ブルーレイディスク)は再生機の普及が問題ではないでしょうか?DVD-videoでPCM、ディスクリートで作られる事が目標ではないでしょうか?DVD-videoのPCMというものは規格は出来ているのでこれからはハードをどうするか、という問題が出てきます。マスターを作るプロセスが必要になってきます。音楽配信ではiPodもサラウンドでやれば良いと思います。また、VictorのSU-DH1を見習ってほしいです。携帯プレイヤーに対応するサラウンドファイルを対応してもらうようにしてもらいたいです。オーディファイルをWMAやMP3D、AACのようなフォーマットを一つ用意すべきでは無いでしょうか。コンサートにサラウンドを使うメリットとしては、印象付けやすい、放送しやすい、ソフトにしやすいということです。ポピュラー、ダンス、テクノ(等)こそサラウンドでやってほしいです。瀬戸勝之さんが2005年に代々木野外ステージで「AREA5.1」という野外サラウンドイベントを開催しています。ホールの3点吊り(マイク)は4〜6chへの対応をするように説得しましょう。説得の材料として、○○ホールではもうやってますよ、というのは説得として使えます。(一同笑い)
[今後の予定など]
・親子で楽しんでもらう。子供に出資する親にサラウンドをアピールする。
・オペラのサラウンドをやろうと思います。国立音楽院でシンセサイザー・サラウンド・オペラの試みとして「オペラ・ガラ・ミニ・コンサート」というイベントを行います。
・オペラファンはDVD沢山持っているのでサラウンド再生を進めたいと思います。
・肝試し野外サラウンドコンサート。
・JASジャーナルに記事が載っていますのでもし良かったら見てください。
デモ :つるぎの舞い(キッチンダンス)FLASHアニメ
相原:こういう楽しさのあるコンサートを子供たちにプレゼントしたいと思っています。やりたい事はたくさん企んでおりますので、また何かありましたら情報を出しますのでよろしくお願いします。
[Q&A]
Q.サイレントジェネレーターのレンタル代は、いくらでしたか?
A.6万くらいでしょうか、詳しくは業者さんに(問い合わせを)お願いします。ケーブルを延長した場合、どのくらい電圧を使うかは計算が必要なようです。もちろんガソリン稼働です。
Q.弁天様モニターのディレイなどのかぶりや歌いにくさはどうでしたか?
A.形だけ歌ってもらって素材を入れていてカンパケ物でしたので問題なかったです。実際にはメロトロンを使いました。
Q.ソフト音源は何を使っているんですか?
A.Logicの音源は負担が大きいのでES1以外ほとんど使わないです。Sculptureは非常に良いので使いました。
Q.サンプリング音源はだめですか?
A.だめじゃないです。サンプラーは自分で録る物だと思っています。楽器から吸い取ったらそっくりなのは当然だと思っています。
Q.今回、一番予算が出たのは?
A.多分照明だと思います。
Q.スタッフは何人でしたか?
A.結局ボランティア含めて10人くらいでした。
Q.先ほど写真に写ってたオーディオインターフェイスは何に使われたんですか?
A. EmagicのA26 青い色の物です。タスカムDA-88がメインだったのですが、そこから録音してはいなかったのであまり関係はありませんでした。
Q.今回のコンサートの日時は正確にはいつだったのでしょうか?
A.2007年9月8日19:00〜20:00で、実際お客様は300名程来て下さいました。お客様の中には、ござを敷いて座ってくれたりしたのですが、あまりセンターに座ってもらえませんでした。
Q.屋外という事で反射音などの影響はありましたか?
A.あまり気になりませんでした。木に音を吸収されリバーブ成分が無くなりました。Apple Logic7の頃はステレオリバーブしかなかったのでそれを少なめにと後からYamaha DM1000でリバーブを追加しました。実際の音はもう少しリバーブ感がありました。
Q.テルミンなどやっているとダウンミックスが気になると思うのですが、どういう風にどうされましたか?やはり頭の片隅に入れておきながらやったのでしょうか?もしくはイベントなので気ままにでしょうか?
A.どちらかというと後者です。あまり気にする時間もありませんでした。
Q.お客さんのサラウンドに対するリアクションはありましたか?
A.お客さんも音が移動するのに反応して面白かったです。
Q.本堂裏の照明はコントロールできるようになってたんですか?
A.はい、できるようになってました。
Q.スピーカー設置の自由なイベントのサラウンドで、フォーマットとして、あえて5.1chを選んだ理由を教えて下さい。
A.(以前の)4chの時のようにフォーマットが増えすぎてはいけないと思います。だから5.1ch=サラウンドで良いと思います。でも8chの音は良いと思います。(それは4.1chで再生しました。)
Q.映像と音の制作順番を教えて下さい。
A.実は絵は卒業生が作りました。彼女は無い物でもなんとかするという考え方で、実際の映像ほどを要求していなかったが2chのソースを渡したらシンクロして作れるような物を作ってきてくれ、それで本番できたので、音→絵→音の順番です。
Q.花火のシンク装置という話がありましたが、詳しく教えて下さい。
A.おそらく花火屋さんに聞くのが一番だと思いますが、タイムコードに合わせて電気の点火スイッチと音声信号にあわせてシンクロできるのだと思います。花火方面もステレオでやるくらいならば、サラウンドでやってしまえば良いのにと思います。
Q.サイレントジェネレーターの稼働時のノイズはいかがでしたか?
A.ジェネレーターの音はしていましたが静かでした。
相原:では、以上で私の講演とデモを終わります。ありがとうございました。(一同拍手)
沢口:野外イベントのサラウンドと言うダイナミックな分野の詳細なお話をありがとうございました。同じ10月に東大寺でのコンサートでもこの寺子屋メンバーの作曲家 野尻さんがサラウンドで音響制作をしましたので機会を見てこれもお話してもらう予定です。
[ 関連リンク ]
第13回サラウンド塾 TOMITA ISAO サウンドクラウドの歩み 冨田勲
サラウンド入門 / 相原 耕治(著)
JASジャーナル2008年10月特集号/私のサラウンド制作と普及・啓発活動について(ページ21~28)
Victor:SU-DH1(ヘッドホンサラウンドアダプター)
「サラウンド寺子屋報告」 Index にもどる
「サラウンド入門」は実践的な解説書です
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