By MIX on Line data base 抄訳:Mick Sawaguchi 沢口真生
[ Foleyとは? ]
映画のクレジットやDVDソフトなどでFoley Artistというクレジットを気に留める方は、かなりのプロです。Foleyとは、「なま音」と呼ばれる足音やドア、金刷れから爆発音素材などを映像に連携して録音し作り出す役割を意味した業界用語です。でも辞書を引いてもFoleyという単語にお目にかかることは多くないと感じていることでしょう。ここでは、その語源となった名Foley アーティスト「Jack Foley」の経歴と名称の由来について紹介します。(沢口記)
Jack Foleyは、1891年にYorkville N.Yで生まれ、その後はConey Islandで過ごし、高校になるとカリフォルニアへ移住し金物店で働きながら映画の脚本を書いていた。また映画業界へ彼らの住んでいた地域を西部劇の撮影用に誘致する運動も行っていた。これがきっかけで彼は、撮影現場のリサーチを行うLOCATION SCOUTとして映画業界に参加、さらにユニバーサル スタジオで様々な雑務をこなすようになる。中でもスタジオ-10の小道具担当アシスタントとして当時最新であった「トーキー」撮影に関わるようになった。
「SHOWBOAT」の製作で彼は、サウンドマンとしての歩みを始めることになる。
最初のトーキーは、音声という点で台詞と音楽に大きな関心を払っていたが、それ以外の音には無関心であった。Foleyは、それ以外の音に関心を持った最初の人物という訳ではない。以前にも78回転の音盤を使って監督が効果音を映像に付加するといった作業が行われていた。しかしスタジオに映像をプロジェクションしながら効果音を録音するというスタイルを確立したのがFoleyである。また彼は、足音について異なる材質を用意し衣すれや靴の種類も様々選択することで映像にあった効果音を作り出した先駆者でもある。
彼はこうした効果音を同時に録音するために自分の周りに様々な道具を配置し一瞬のうちに異なった効果音を連続して作り出す手法も考案している。彼の同僚であったJ.Sikorskyも「Jackは、音で映像を一層引き立てるために俳優になりきって効果音の動きを録音する才能の持ち主だった」と回想している。
Foleyという作業は、映画史のなかでも永年クレジットに乗る事はなかった仕事で今日「Foley Artist」として一般的に認知されてきたことを考えれば、隔世の感があるといえる。彼の仕事は、1931年のDraculaから1960年のスタンリー キュービック監督「スパルタカス」まで膨大な効果音録音を担当した。
スパルタカスは、Foleyの貢献を示す好例になると言える。当時監督は、古代ローマ軍の行進部分の音響が気に入らず、莫大な予算をかけてエキストラを動員した再撮影を命じた。これを聴いたFoleyは、スタジオに数人の部下をつれて現れ鎧や刀など行進のときに生じる効果音を録音し、監督がこれを認知したことで、膨大な予算を使って再撮影することを防止することができた。
1967年にFoleyは他界したが、それまでに担当したフィルムの長さは有に5000マイルを超える長さに及ぶであろう。Foley という名前とともに彼の業績は、映画業界に大きな足跡を残しているのである。(了)
サラウンド寺子屋報告 第54回 実践Foley録音とそのアプローチ
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