January 19, 2011

ラウドネス音声基準規格はユーザをリモコンボリュームから解放する切り札になるか? 2010InterBEE Content Forum 音響部門リポート



By Mick Sawaguchi 沢口真生(音響フォーラムコーディネータ)

=== ラウドネス関連の資料とリンクを追加しました ===
ラウドネスによる音量適正化(PDF) 2011-11-17 InterBEEチュートリアル セミナー資料
日本ラウドネスメータ協議会 - 技術資料のタウンロード
デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定 TR-B32(PDF) - ARIB
T032リファレンス音源 - 民放連
=== 2012-02-01 ===

「サラウンド入門」は実践的な解説書です

[ はじめに ]
2010年の音響フォーラムは、ラウドネスモニタリングを取り上げました。
放送、音楽、CMなどでは、「ラウドネスWAR」とよばれる「大きいことはいいことだ!」という思想背景のもとで過激な音量競争をもたらしその結果、ユーザーは、極度に圧縮、音質加工された音を聴き、局・番組・CM間などで生じる音量差を補正するために、リモコンボリュームを手放せないという状況になりました。こうした状況を解決するためITU-Rにおいて、聴覚モデルを用いた「ラウドネスモニタリング 」を規格化する作業が進行中で2011年春には、各国の合意をうけて最終案が勧告される予定です。これと平行して、ヨーロッパ(EBU)、アメリカ(ATSC)そして国内でも電波産業会(ARIB)や民放連/JEITAを中心にラウドネスモニターによる制作基準が2011年中に策定予定です。

今年の音響フォーラムでは、この動向をいち早く紹介し、制作から送出、放送やメディア、視聴者までどういった課題やメリットがあるのかを多角的に取り上げることにしました。またシンポジューム会場へラウドネスメータ協議会参加11社のご協力を得て実機も合わせて展示デモを行いました。

今回パネラーとして講演していただいたのは、講演順で、

岡本 幹彦 氏
日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 番組制作技術部 副部長
松永 英一 氏
株式会社フジテレビジョン 技術局 制作技術センター 制作技術部 音声統括担当部長
入交 英雄 氏
株式会社毎日放送 放送運営局 送出部 マネージャー
村越 宏之 氏
株式会社IMAGICA デジタルプロダクション ポストプロダクション部五反田制作第二グループ/
JPPA/サラウンドCM研究会 サウンドエンジニア
フローリアン・キャメラー 氏
EBUラウドネス規格委員会(P-LOUND) 議長

コーディネータと司会進行を
沢口 真生 (パイオニア株式会社 顧問 Fellow AES/IBS)亀川 徹(東京芸術大学 音楽学部 音楽環境創造科 教授)で行いました.以下講演順で概要をリポートします。


1 ラウドネスの技術解説とNHKにおける取り組み:岡本 幹彦 氏

音の3要素のうち心理量 知覚レベルを加味した音の大きさをラウドネスと呼んでいます。これは同じメータの振れ方でも受け取る感覚量は異なるという点がポイントとなります。
近年ラウドネスが着目された背景としては、
アナログ放送では、放送の最終マスターでFM変調をコントロールするためのコンプレッサーにより結果的にレベルのばらつきを解消していた役目がある。
しかしデジタル放送になって番組間レベル、発信地域レベル 局間レベルの差がそのまま放送される結果、視聴者は、音量を調整するためにリモコンが手放せないという状況になりました。

ユーザーの皆さんへ快適なサービスを行ううえでこれを解決しなければなりません。ITU-Rでもこうした世界的な状況を解決するための活動が行われ2006年7月にBS-1770 1771という規格勧告が行われこれにもとずいたラウドネスメータの市場への投入が始まりました。

ここでVUメータでの指示値と音量感についてデモしてみます。VU指示と音量感の相違などが理解できると思います

デモ:(ニュースを再生して)
VUメータリングの限界は、-2〜0VU基準だけでは個人差により読み方が異なるためばらつきが出ています。
近い音と遠い音 高域強調など同じVUメータの振れでも実際の音はこれだけ異なることがお分かりになったと思います。
また放送基準レベルSTB21でいえばNHKと民放では2db異なるのでこれも解決しなければなりません。それでは、現状の問題点がお分かりなったと思いますので、ITU-Rの勧告内容について紹介します。

ITU-R勧告とは、
2000年9月から検討開始。
2006年7月 
BS-1770ラウドネス測定用アルゴリズムを決定 
BS-1771ラウドネスメータの要求条件を決定
2010年3月 
BS-1864 番組交換基準運用
が勧告されました。現在修正部分についてつめの作業が行われている状況です。

BS-1770 アルゴリズムのシステム解説
ラウドネスレベルはモノーラルからサラウンドまでモードによらず 一つだけで規定されます。入力信号は、
プリフィルター  RLBフィルター をあわせたKフィルターという特性(図参照)にしたあと方向性により音量感が異なる点を補正するために後方サラウンド信号はフロントより1.5db高くするといった回路で解析されラウドネスレベルという値で指示されます。この単位はLKFSを使用し 1KHZ 0dbFSで −3.01LKFSに対応しています。番組やCMである無音区間は、計測時に省く方向で修正勧告する予定です。(ゲート処理)


測定ブロックダイアグラム(ゲート区間採用構成図)


方向別重み付け(リア成分は0.5db高く補正)


プリフィルターの特性


聴感補正特性


総合特性 K-フィルター

BS-1771:メータの仕様
市場で製品化されるラウドネスメータの仕様を勧告した内容で表示方法として大きく3つの方法を検討しています。

リアルタイム表示用
瞬時表示メータ 400msec区間計測
短時間表示   3sec区間計測
番組全体表示用 
ロングターム表示 これは番組全体でラウドネスを表示


BS-1864交換基準の策定 
これは世界的に番組交換を行う上での音量を統一するための仕様(ターゲット レベル)で現在 -24LKFSにするか-23LKFSにするかの審議中です。

NHKの取り組み 
次にNHKでの取り組みの経緯と今後について紹介します。NHKでは、1999年から検討を始めその結果は、ITU-Rへ寄与してきました。現在1770準拠で各パラメータを変化できる試作メータを用いて音声レベル管理の基準を策定するための検証実験を行っています。


1999年 試作モデル


BS-1770準拠モデル

結果の一例としては、
番組ラウドネスの調査: 59番組で測定  平均−20.5LKFS
ニュース 21.5 スポットで−20 クラッチ −19に分布しています。

今後は、番組制作での実運用基準ガイドラインを策定する予定です。我々は、
NHKの使命としてユーザの皆さんがデジタル放送視聴時にリモコンから解放されることをめざしています。どうもありがとうございました。


2 民放連テレビ音声レベルWGの取り組みについて:松永 英一 氏

岡本さんの話でもありましたようにデジタル放送になりますと素材レベルでの音量差がそのまま放送されることになります。
一方でVU指示でのあいまいなCM搬入基準を明確にする必要もでてきました。そこで我々は、2009年3月に検討をはじめ民放連内に準備会合を発足しその後2009年7月より正式なWGを設置し現在に至っており計20名のメンバーで活動し「TVは安心して聞ける」ということを目標にしています。
どのような方法が良いのかを検討した結果、世界的な流れでもあるラウドネスメータによるレベル管理を我々も取り入れることにしました。
ただし現在勧告されているラウドネス測定法ではなく無音区間を省いて実質的な音声レベルで測定できる手法をEBUと連携して提案しています。(ゲート区間設定)。まずー70LKF以下の音はカットします。そして全体平均を出しそこから-8~-10低い部分へゲートを設定してそれ以上のレベルで指示値を出そうと言う考え方です。その理由は、CM制作において冒頭と終わりに0.5秒づつの無音区間があるのでそれを省いて測定しようという提案です。これは、EBUの測定モードに準拠しています。
音声技術者と一般リスナーでの評価実験を実施してどういった効果があるのかを実証しました。さらに永年の懸案でもあったNHK-民放での2dbレベル基準差解消に向けた会合を実施。ARRIB規格を出してそれに全員が準拠する方向で検討しています。以下に当WGの目標を紹介します。

音量感
平均ラウドネス値で規定  これは-24とか-23LKFSといった指標
ターゲットラウドネス=上限値
下限値=ターゲットラウドネス-5LKFS
推奨範囲 上限値~下限値
最大許容ピークレベル
最大許容トゥル-ピークレベル=-1dBTP 
サンプルピークの場合の最大許容レベル=-3dBFS
ダイナミックレンジ
ラウドネス+VU計で検討中(将来はラウドネスレンジを導入か?)
納品には、ラウドネスを表示。
TV音声 レファレンス モデルを作成して頒布予定これは、どなたでもダウンロードできる予定です。また教育用DVDも作成予定です。また設備投資が難しいプロダクション等を対象にラウドネスメータ協議会と連携して簡易測定フリーソフトを提供してレベル管理を簡易に行うことも検討しています。これらの規格は、T032規格として2011年春に確定したい方向で検討しています。その後準備周知期間を1年おいてその間に普及させたいと思っています。
この規格は、TV CM搬入基準にも反映させ全体の統一を図る予定です。
ARIBでも2011年5月で策定を行いたいと考えています。ここで規格上の足並みは揃うので、その後は、小冊子ガイドラインを策定して実運用へむけた啓発活動に取り組みます。対象としては、CM制作関連団体 プロダクションそして 社内周知などです。我々のWGは、「ラウドネス for COMFATABLEサウンド」を目標に活動しています。
どうもありがとうございました。


3 ユニバーサル デザインとしてのラウドネスレベルの導入と課題:入交 英雄 氏

デジタル放送を取り巻く音声状況については、私も永年調査や実験、研究を行ってきました。ここでは、ITU-R勧告にあるラウンドネスメータをどう制作段階で使い分けすればいいのかについていくつか紹介したいと思います。またVUメータタイプの試作機も合わせて紹介します。まず3種類のメータの使い分けについてです。

●ロングターム ラウドネス  
番組全体のレベル管理に向いている。番組交換基準としては最適。

●ショートターム ラウドネス  リアルタイム ミキシングむけ
BS 1771勧告へ400msec計測と3sec計測(モメンタリーとショートターム)の2つがEBUから提案されています。これは現場で生放送リアルタイムミキシングを行う上で必要な規格です。
それではここで3つの表示の相違をデモで体験していただきたいと思います。
デモ:
いづれもオリジナル音とノーマライズ(今回は-24LKFSでノーマライズ)した音で比較。
VU計のふれがこんなに違うということも実感していただけたかと思います。

直線性の調査結果
次にメータの振れ方と音量感にどういった関係があるのかの8番組での調査結果を見ていただきます。これから言えるのは、
VU計では大きなレベルほど直線性から外れて指示値が小さくなる傾向にあります。これは過剰なコンプの影響です。しかし−24LKFS付近ではVUもラウドネスメータも同様な指示をしています。


次に試作しましたVUタイプのラウドネスメータを用いて実用性検証実験を行ってみました。



デモ:VUタイプSTラウドネスメータでターゲット指示値へコントロールしその指示値がどれくらいか?実験。 
結果は、STラウドネスメータ:目標値(ターゲットレベル)にあわせやすい。
測定区間は3秒くらいがやりやすいというアンケート結果となりこの方式でいけそうだという結果を得ることができました。



それではラウドネスメータは、従来の方式に比べて弱点はないのかを検証してみました
ラウドネスメータの弱点は?


● スポーツやバラエティ番組などの歓声が会話レベルより高い場合は、コメントが低くなる傾向になる。
● 映画のようにダイナミックレンジがひろいMIXでも台詞が低くなりラウドネスメータ指示値と主観感覚値の乖離が大きくなる

と言う傾向がでました。これを解決するには、放送向けにダイナミックレンジを圧縮するプロセスなどが必要かと思います。最後に、どんなメータがみやすいか?について検証しました。メータとしては
3種類で調査。バーグラフ表示よりもマーカー付きの針式が好評でした。
以前の実験でもラウドネスを取り入れた場合のCM音量のばらつきも格段に改善された結果が出ていますし、総じてリアルタイム ラウドネスメータは今後有益であるといった結果を得ています。どうもありがとうございました。


4 JPPAでのラウドネス関連アンケート調査結果とCMミキシングの今後
村越 宏之 氏

ポストプロダクション制作、その中でもCM制作が多い日本ポストプロダクション協会JPPAの取り組みから紹介したいと思います。CM制作を主にしてポストプロダクション制作、その中でもCM制作が多い日本ポストプロダクション協会JPPAの取り組みから紹介したいと思います。CM制作を主にしていますJPPAにとっても今後のラウドネスモニタリングと動向は、大変重要だという位置づけで会員各社のみなさんへ個人的なレベルでの考えをもとにアンケート調査を行いました。その結果と今後の対応、また先人としての音量問題へ取り組んだ映画予告編制作での取り組みなどから我々は、何を学ぶべきかなどについて述べてみたいと思います。

1 民放連での動きをしっているか? 

知っている:81.4%
知らない: 16.3%
その他:  2.3%   

2 どう考えるか?
肯定的:55.8%
否定的:18.6%
その他:25.6%

3 ITU-R勧告案は知っている?(BS 1770 1771)
知っている:33.7%
知らない: 58.1%

4 TVでの音量問題をどう考えるか?
内容によってバラつくのは仕方がない:    50%
送出側で揃えるべき:            32.6%
納品基準で制作するスキルは音声技術者に必要:58.1%
受像機側で対応するので気にしない:     2.3%
音量差は気にしていない:          1.2%
その他:                  5.8%

課題は?
MIXはどうかわるのか?はまだ経験が少なく今後取り組む課題。
パッケージ制作では、ファイナルMIXの後でマスタリングプロセスの導入といったあらたなフローも検討する必要があるか。
CM特有の課題---Kフィルターの影響を考えた音作り。固い音作りをすればラウドネスメータでの表示は大きく出、その結果放送レベルは小さくなることになる。
現状の15秒 30秒CMの特性分布でみれば3K/6Kに大きなピークを作る傾向がある。ヤバい! ダイナミックレンジもない。ただ大きいだけ。
今の方法論では納品レベルは小さくなる。やり方を変えないといけない。

現状の15秒/30秒CMのレベル分布調査を紹介します。このようにレンジも狭く特定の帯域が強調され、またレベルもVU納品規定を大幅に越えたMIXとなっています。これらはこのままラウドネス基準で適合していけば放送時に逆に小さくなってしまうという結果をおこしかねません。
アメリカのTASAにおける映画予告編のラウドネス規制や国内の予告編音声レベル規定の基準制定後、規格に収まるようになっています。こうした先行事例も参考になると思います。

データ 15秒/30秒 CMのレベル.周波数分布 調査例

私もCM MIXを多く手がけていますが、そうした経験もふまえて今後の課題として言えるのは、
高域にエネルギーを集中させない。(Kフィルターで1.5KHzから上は4db上がって測定されます)

過度な圧縮はやらない。
トレーラ事例を参考にノウハウを勉強する。
あらたな実験検証をおこなって、ノウハウをつくる。

最後に強調しておきたいのは、「大きな音だけでは価値がない。リスナーの快適さのために」が今後のキーワードの時代になってきたと言える点です。どうもありがとうございました。


5 EBUラウドネス委員会(P-LOUD)活動概要と今後の課題:フローリアン・キャメラー 氏

我々の活動目標は、ONE WORLD ONE SOLUTIONにあります。
世界的にもひとつの規格ですべての制作—伝送—再生までの信号系を扱うことが目標で最終的には、ITU-Rで国際的にも統一された規格勧告ができ我々の活動目標は、ONE WORLD ONE SOLUTIONにあります。
世界的にもひとつの規格ですべての制作—伝送—再生までの信号系を扱うことが目標で最終的には、ITU-Rで国際的にも統一された規格勧告ができるためにEBUのラウドネス委員会 (P-LOUD)は、活動しています。

その背景:
ラウドネス問題は大きいことはいいことだ!という幻想からユーザ視点へ。
日本ではVUメータが使われてきたようにヨーロッパでは、Q-PPMメータ(時定数10msec)が長年使われてきましたがこれも聴感レベルと一致しているわけではありません。さらに放送では、多様なプロセッサーの登場によりダイナミックレンジはどんどんつめる傾向となり、ついにラウドネスWARとよばれる音量競争に突入して現在に至っています。
これをラウドネスのノーマラズという方法で聞こえ方のばらつきを解消しようとEBU内にP-PROUDと言う委員会を設置し2003から2006年にはラウドネスを有効に測定するアルゴリズム測定法を策定する活動を行いITU-Rにて、BS1771として方法が確定しました。

ITU-Rでは、ラウドネスの単位にLKSFを導入していますがEBUでは、よりVUに親しみやすい単位と言う意味でLUという単位を提案しています。これは LKFS同じ指示単位だが、わかりやすい意味で LUをEBUは提案しています。

1771規格を補足したEBU128規格とは

ラウドネス レンジ:全体平均レベルをメディアや伝送によって最適化
最大ツルーピークレベル測定: MTPPにより伝送系内での歪みを防止
ラウドネス レンジ :LUFSを−23とした。(ITU-Rは−24)
許容量は厳しくして1db以内とした。23プラス マイナス1と厳格。
メタデータの扱い:ラウドネスレベルを付加することで番組音ばらつきを防止
ゲート期間:無音部分がある番組でのノーマライズレベルを維持するために
無音部分を削除して測定できるようにした。−10LU下を無視する提案

デモ:ラウドネスノーマライズ ON/OFF  −23LUプラスゲート付き

ピークをノーマライズした音源とラウドネスをノーマライズした比較音源
を再生して多様な番組間でも聴感レベルが揃ってくることがお聞きいただけると思いますし、CMのように過剰な圧縮をおこなった音源はこれをみても逆効果になることがわかります。

伝送:ダイナミックレンジをメディアの特性に合わせて最適化することがユーザーにとっても聞きやすいサービスを提供することになります。例えば映画「マトリックス」のダイナミックレンジを測定すると、25LUのレンジがあるMIXをしていることがわかります。しかしこれをそのまま放送すれば家庭ではレベル差が大きすぎるので頻繁にリモコンでボリュームをコントロールすることになります。これを解決するにはメディアに応じて20LU ---8LUといったダイナミックレンジ指定を行うことで快適なリスニングが可能となります。
私たちORFでは年間150本の映画をサラウンドで放送していますが半年前から20LUにコントロールして放送しています。

ツルーピークの策定:最大値の規定により伝送系での歪みを防止できます
ラウドネスメータの種類は3種類
瞬時400msec 短時間3 SEC 全体の3つ。
表示方式は問わない。針でもバーでも、なんでもいい。ただし技術仕様は世界で統一しましょうというのが提案です。
今年のIBCでは EBUモードで20社のラウドネスメータが出展しました。

最後にEBU DOC128の概要を紹介します。これは以下の規格を提案しようとするもので、
3341:EBUモードのメータ仕様
3342:アルゴリズムの測定法 テスト信号
3343:実運用ガイドライン(策定中)
3344:伝送ガイドライン(策定中 伝送から受信までをカバーする予定)
で構成されます。次にアメリカATSC提案との相違点について紹介します。

ATSC 番組交換基準 -24LKFS ですが我々は 、 -23  LUSF (ゲートがあるかないかの相違)
許容値 緩いATSC +/-2 EBUは+/-1dbを提案
アンカーエレメント:スピーチを中心とするか全体か?選択可能に
ラウドネス レンジ:メディアによる適正化 メタデータ化等
しかしこれらは、細かな点での相違ですので早晩一本化できると考えています.それには、日本からの提案やサポートも大きな要素となります。
音声にとってこれだけの改革ができるタイミングは今後ないといえるくらい今は大切な時期です。
「HAPPY CONCUMER BETTER GOAL ONE WORLD ONE SOLUTION」

今回の標題にもあるように視聴者がたびたびリモコンを使わなくて快適な音が楽しめることが重要な目標です。どうもありがとうございました。

[ 会場からの質問 ]
1 PRE-MIX時の扱いをどうすればいいか?
A:一度適正ラウドネス値を設定すれば後は、耳に聞こえる音がそのまま反映できるので本来のミキシングの基本にもどることができる。というのがこれまでラウドネスメータで1年間実験した感想です。
2 DOWN MIXとサラウンドのラウドネスは?
A:どんなモードでもラウドネスは同じ。係数の見直しができる良いタイミングでもある。係数をつけているのは日本だけ。
3 CM制作側への周知方法予定
A:民放連営業委員会を通じて各種団体へWGで啓蒙活動予定

[ 感想と今後 ]
オーディオモニタリングメータにとって第3の変革と言っても良いラウドネスモニタリングの現状をNHK 民放連  JPPAそしてEBUと様々な視点から講演していただきました。
フォーラム音響部門では、久しぶりの満席立ち見状況となり、参加者の様々な業種業態の方々にホットな話題が提供できたのではないかと我々も一安心しています。
ソフト制作のそれぞれでミキシングは変わるのか?変わらないのか?世界的な番組交換基準やメタデータ 納品方法、ファイリングでのチェックとフロー、そして広告制作や放送局内のエンジニア以外の方々との連携など課題は山積みですが、ONE WORLD- ONE SOLUTIONというキーワードのもと業界全体で取り組んでいただきたいと希望しています。(了)


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