October 26, 2006

第37回サラウンド塾 ゲームのサラウンドデザイン 染谷和孝

By. Mick Sawaguchi日時:2006年10月29日
場所:目黒 TACシステム4Fスタジオ
講師:染谷和孝
テーマ:ゲームのサラウンドデザイン

沢口:今月は15日と2回開催となりました。本日は、日本が誇るワールドワイドなソフトであるゲームのサラウンドデザインについて染谷さんを中心としてゲーム制作に携わっている方々を中心に集まって頂きました。20名を越える参加者のため目黒TACシステム山本さんのプロツールズ スタジオをお借りして持ち出しで行います。またサラウンド再生モニターシステムはオタリテック石井さんのご協力でGENELECの音場補正機能を装備した最新モデルを用意していただきました。それでは進行役を染谷さんにお願いして始めたいと思います。

染谷:みなさん、こんにちは。染谷です。7月にAES技術委員会のスティーブを迎えてゲームのサウンドデザイナーの方々に集まってもらって情報交換会を持ちました。以来多くの方に呼びかけてゲームオーディオを高めていこうという主旨で今回サラウンド寺子屋in ゲームというテーマにしました。20名予定のところに40名程集まって頂き有り難うございます。最初に私の方から10月5-8日にサンフランシスコで開催されたAESコンベンションでのトピックスとゲームオーディオ技術委員会の様子を報告します。AES のコンベンションでは、最新技術展示と平行して技術発表・ワークショップ・チュートリアルセッション・学生セッション・スペシャルイベントやテクニカルツアーなどが目白おしで同時進行しますので自分で毎日なにをどうするのが一番有効か組み立てていかなければなりません。私をはじめ日本から参加した方々の多くは、興味のあるワークショップを中心に空いた時間で機器展示会場を回るといったスケジュールで動きました。機器展示で私が興味を持ったいくつかを紹介します。

● ノイマン デジタルマイクのラインアップが充実
● コルグが発表した1ビットデジタルレコーダ 大変コンパクトでロケ用にいいと感じました。
● R.NEVEが今回新たに設計したディスクリート アナログコンソール これも興味あります。

またテクニカル ツアーでは、サンフランシスコゴールデンブリッジの近くに改装移転したILM/ルーカス アーツで行われたシネグリッドネットワークによる4k 映像と音声リアルタイム配信デモに参加しました。











 















今回AES技術委員会ゲームオーディオの会合にも初参加しました。ここではゲームオーディオのハード面とクリエイティブなソフト面で課題やガイドラインとなるべき技術情報の公開、次回のAESコンベンションでのワークショップテーマなどが討議されました。今回の技術委員会で私がアジア担当の副議長に選任されました。これでアメリカ・ヨーロッパ・そしてアジアの3極コンビが出来上がりましたので、今後一層みなさんとも協力してゲームオーディオを盛り上げていきたいと思います。是非みなさんもAESメンバーにも参加されて一緒に活動していきましょう。

では次に沢口さんからゲームでサラウンド デザインを行う上で参考になるデザインの考え方についてデモを交えながらお話して頂きます。

沢口:今日は、ゲームオーディオもサラウンド制作が増加してきつつあることを受けて、サラウンドでデザインする場合の基礎と注意点についてお話します。こうした勉強会をサラウンド寺子屋塾として毎月我が家のスタジオで開催しています。今回のように参加者が多い場合は持ち出し寺子屋として会場を提供して頂きながら開催してきました。

サラウンド基礎デザイン
サラウンドの音場を設計するときに、「あっ、この表現だったらこんなとこからいけばいいのかな」というような取っ掛かりがうまくつくれるんじゃないかと思いまして、6つの基礎デザインここでご紹介したいと思います。それぞれの名前は私が勝手につけたもので、別に統一した呼び方ではありません。

1つは一番スタンダードな“アンビエンス効果”というデザインです。2つ目は、“フライオーバー効果”という、縦に音が動くというパターンです。3つ目に、“水平面回転効果”という、回転効果があります。4つ目に、“先行・残像効果”と呼んでいますが、あるシーンよりも先行してリアから音が出る、あるいは逆に、そのシーンは終わったのに、前のシーンのキーになるような音が次のシーンまで残っている、という音場の設定の仕方があります。
5つ目に、音の降り注ぎ効果“サウンドシャワー効果”と呼んでいますが、あたかも天井の方から音が降り注いでくるようなデザインです。6つ目に、“音像強調効果”というのがあります。シンプルな音では迫力も出ない、大きさも出ないというときに、5.1チャンネルをうまく使うことによって、非常にボリュームのある、なおかつ迫力のある音場設計をすることができます。以上述べたような6つのサラウンドサウンドデザインの基礎が私はあるのではないかと思っています。ですから、これらをどういうふうにうまく組み合わせるか、さらにもっと違うデザイン表現のアプローチをして頂ければ、おもしろいサラウンドの世界ができるのではないかと思います。 では、それぞれにデモを交えながら聴いて頂きたいと思います。

●アンビエンス効果
アンビエンス効果というのは、フロントの音場の方に直接音等メインの音が出て、リアにその響きの成分があるデザインのことです。例えば音楽でいえば、オーケストラをホールで録音してサラウンドにしたというのがその例です。ドラマでいえば、例えばガレージの中、競技場、地下の駐車場、潜水艦の中、そういったところで、前面にメインの音があってリアにその空間の成分があるデザインです。これが一番自然で80%以上のデザインはこれが使われていると思います。基礎的なサラウンドのデザインではないかと思っています。それではこの例を聞いてください。

―デモ―

このようにアンビエンス効果といいますのは、何となく臨場感のある音場をつくるという、一番基礎的なサウンドデザインだと考えればいいと思います。これはドラマに限らずドキュメンタリー、スポーツ、音楽、何でも可能なデザインかと思います。今聴いて頂いたクリップでいえば、雨の音ですね、これで今進行している環境が提示できます。アンビエンス音は、理想で言えば最低4CHで最適なアンビエンスを収録した素材を使うのがベストですが、必ずしもそうした素材が無い場合は次に示すような3つの方法でステレオ素材からサラウンド空間をつくってください。

● 同一録音源の異なるタイミングを使用してFL-FR/SL-SRへ定位することで空間を疑似シミユレート
● 同一音源しかない場合、フロントにたいして30-60msec遅れた音源をサラウンドチャンネルへ定位させる。
● 同一音源をフロント、オリジナルに比べてピッチをほんの少し上下させた音源をサラウンドチャンネルへ定位。
こうすることで擬似的に水平面内のサラウンド空間をシミユレートすることが可能でサラウンドロケーション音源が無い場合にサラウンド素 材を制作しなくてはなら場合有効な方法です。

●フライオーバー効果
続きまして、フライオーバーというのはどんなものかというと、これは大変分かりやすいサラウンドの効果の1つです。音が飛び交うといわれますが、初めてサラウンドはどんなものかというのを聴く方には、このデモが一番手っ取り早いですね。縦、横、斜めというふうに音が飛び交うデザインがフライオーバーという効果です。では、これも同じようにデモをお聴きください。

―デモ―

これを多用した映画といえばチャン イーモ監督の「HERO」があります。一度じっくり聞いてみてください。

●水平面回転効果
次の水平面の回転効果とはどんな感じになるかというと、図のように、音場の中で音が浮遊をするといいますか、動いているという感じを出すというデザインです。これはあまりやり過ぎると、中で聴いている人が船酔い状態になりますので、効果的に使ってください。使う場面としては、心理描写とか、異常な世界にトリップするという入り口、竜巻のシーンですとか、大海での嵐の状況、等に使うと効果的です。

―デモ―

5.1でやる場合に、ジョイスティックで素材をぐるぐる回せば誰でも回るから楽でいいなんて思うんですが、多少気をつけてやって頂きたいのが、フロントとリアの間の側面の情報が結構抜けます。そこをちょっと工夫して、一定ではなくジョイスティックのパンをその辺で少し緩めにしてあげてまた戻すといったような、操作をした方がいいときもあります。また面の厚みを出すためにはレベルや音質を変化させたステムを重ねていくことで奥行きと厚みのある音のうねりを作り出すことができます。

●先行・残像効果
次は、先行あるいは残像効果です。これは、例えばフロントにメインのシーンがあるとしますと、次のシーンを予感させるような音がリアから出てくる、というのが先行効果です。もう1つはその逆で、フロントにメインのシーンがあるときに、その1つ前のシーンで存在した非常に印象的な音、それがその次のシーンにもこぼれてリアから出てくるというようなデザインです。ここでは戦争をイメージするようなシーンが最初に後ろの方から出てくるという、先行効果音というのが出てきます。残像効果のデモはDVDで再生しましたが、30年前の戦闘シーンでスタンレーという兵士が自決を止めるため叫んだ「NO」という声が30年後の現在の終戦記念レセプションに参加している同一人物のシーンへこぼれてくることで30年をつなぐといった例です。

―デモ―

こういった時間軸をシフトするデザインというのが、先行・残像効果の特徴かと思います。

●サウンドシャワー効果
それでは次のサウンドシャワーです。われわれが聴いているこの平面のちょっと上の方から、音が降り注ぐような感じにデザインしたものです。実際にはスピーカや上方チャンネルはないわけですが。例えば神の啓示のように、天井からイエス・キリストの声が聴こえるとか、潜水艦には伝声管というのがありますが、潜水艦の艦内で艦長が指示する声が聴こえるあるいは、空港で案内の声(ページング)が聞こえるというようなときに、あたかも何か上の方から聴こえる感じのデザインをすると効果的な場合に使用します。

―デモ―

●音像強調効果
では最後に、音像強調効果というサウンドデザインをご紹介します。これは例えば、アクション映画で拳銃を撃つときの“バーン”という音がありますが、この実際の音は“パン”という一瞬の音です。しかしドラマ的な心象で、その“バーン”という音から次のシーンの展開を予感する、とても大事な音として扱いたいといった場合やドアの開閉に迫力を加えたいといった場合に利用されます。オリジナルの音は、ハードセンターに置いておき、それを加工したものをL, Rに置いて、もう一段何か加工したものをリアに置いておくというような、重箱を重ねたような音のつくりをしますと、迫力のある音になります。これが音像の強調効果というデザインです。ではその例ということで、実際は人の声ですが神の声が大きな声となってリスナーを包むというシーンのデモを聴いて頂きたいと思います。これは完成版とばらばらのものとをお聴きください。

―デモ―

もともとが人の声だけですと、ハードセンターで非常にこじんまりとまとまってしまうんですが、この場合はL, Rに少しピッチを落としたりしたものを置いて、リアにさらにもう少しピッチを落としたものを置いて、LFEを加えますと、もともとの素材は非常に小さい音かもしれませんが、5.1チャンネルをうまく利用することによって、音像を大きくすることができます。

音楽のサラウンドデザイン
次に音楽のサラウンドデザインについてですが、ここでは3つの基本デザインについてご紹介しようと思います。

 
 
 
 1つはアンビエンスと全く同じですが、ステージレイアウトというものです。普通のホールでオーケストラをサラウンドで録る場合をイメージして頂ければいいと思いますが、フロントにメインの音があって、リアにその空間の情報をとらえた音があるという、あたかもステージがそこにあるという感じを出すデザインです。2つ目に、独立チャンネルレイアウトというものがあります。これは、5.1チャンネルそれぞれに違った音源を配置することによって、ステレオで聴いているよりも新たな表現ができるデザインです。この場合でもあくまでも聴く方向はフロントというのが、先ほどのステージレイアウトと同じです。こういったサラウンド音楽は、クラシック音楽ではなくて、マルチトラックで録られたポップスやキーボードシンセ系でつくった音楽のサラウンドミックスによく使われている手法です。3つ目に、全方位レイアウトというのがあります。これは、どこを向いて聴いてもいいというものです。いってみれば、音楽の音の壁、サウンドウォールが360度にあるというような音楽のつくり方をしたレイアウトです。日本でいえば、富田勲先生が「私の場合はどこを向いて聞いてもらってもいいですよ。音の壁がさーっと全面を取り囲んでるっていうのがいいんです。」というようなつくり方をしておられますが、そういったものがこのタイプに入ると思います。フロントがどこでも構わないというのが、先ほどの独立チャンネルレイアウトといわれるものとの違いだと思います。

このように、ドラマ、ドキュメンタリー系でいえば、先ほどお話をした6つの基本のサウンドデザイン、音楽でいえばこの3つの基本のサウンドデザインを、入り口にして次に進んでいけばいいかと思います。別にこれ以外のサウンドデザインが絶対ないということを申し上げるつもりはありませんので、皆さんのアイデアと工夫で、どんどん新しいサウンドデザインというものを、サラウンドの中でまた追求して頂ければいいと思います。

ドラマを例にした構成要素

それでは、ドラマを例にして、どんなコンポーネントでそういったデザインがされているかというのをご紹介しておきます。ドラマというのはご承知のように、台詞があって音楽があって効果音があって、それで総合のサラウンドの音場をつくっているわけですが、そのそれぞれがどんな感じで音場を構成しているか図で示します。スピーカの配置でL, C, R, SL, SRとありますが、この中で台詞というのは、映画ですとハードセンターにほとんどの台詞があるわけですが、それだけではありません。例えば、ハードセンターに台詞があるときもありますし、ステレオを使った台詞というのもあります。特に群集シーンなどですと、フロントもリアも全体を使うというように、台詞の場合でいえばハードセンターの場合もありますし、L, C, Rを使うときもありますし、リアも使うときもあるというような構成になろうかと思います。

音楽は、最初にレコーディングをしてミックスダウンをした段階で5.1チャンネルだったら、5.1チャンネルのものが出来上がりますので、音楽としては5.1チャンネルで完成というのが普通のスコアリングミュージックといわれるものです。ドラマの中で、いわゆる劇中音楽として使われる、例えばラジオから流れているとかカーラジオから出ているとかラジカセから出ているとか、そういうものはほとんどハードセンターにもってきますが、それは劇伴とは違いますのでここでは省きます。

効果音は一番いろいろな自由度が高いといえます。フォーリーといわれる生音系の音は、大概ハードセンターに置いておきます。それから拡がり感のあるものについては、L, Rで組み合わせる場合と、L, Cで組み合わせる場合と、C, Rで組み合わせる場合と、3つの組み合わせがあります。それから、それを全部使うとL, C, Rの全部が組み合わされるというときと、リアのSLもしくはSRから単独で出す場合、またリア全体を使うというものもあります。効果音の場合には一番そういった自由度が高いデザインでしで、これらが全部構成されて初めてサラウンドという音場になるわけです。一見複雑なようですが、実はそれぞれの要素で区分けをしていけば、そんなに大変なことではないということがお分かり頂けると思います。

どう作るLFE
LFEをどう作るのか?についていくつか述べてみます。LFE 成分を作る素材としては以下のようなものがあげられます。
● ピンクノイズの低域成分
● マイクの吹かれ
● ボンベなどの噴出音
● 染谷式マイク圧迫法
● 市販LFE-素材CD
これらはメインのチャンネルで使用する素材とは異なった音源を組み合わせて使うことになります。また低周波成分を作り出すためには「サブハーモニックシンセサイザー」といったエフェクターも利用できます。

LFEとメインチャンネルの位相関係を正しく合わせるーフェーズコントロールの重要性について

先ほど述べたLFE素材はメインで使う素材とは異なった音源を加工合成して使う場合の例ですが、ここで述べるのは音楽などのベースやキックといったメインと同じ音源をLFEにも使う場合の注意点です。結論から言えば、この場合高域をカットするために使用するLPFの特性によって遅れがでますので、その結果メインのキック音とLFEに送ったキック音で遅延による位相キャンセルがおこり低域が濁ることになります。LFEを付加したのにどうもパンチがない・・・・といった場合の原因となるのがこの遅延です。

図に示したのは各種ディジタルLPFのカットオフ特性とカットオフ周波数の組み合わせでどれくらいの遅延が生じるかを示しています。最大で15msec もの遅延が生じることがお分かりになると思います。こうした位相管理をしっかり行いましょうというコンセプトがパオニアから提唱した「フェーズコントロール」というコンセプトです。

ゲームではポスプロで制作する場合がほとんどですのでLFEを作った場合必ずメインの音とずれが無いかを波形上で確認、またマスタリングの段階でもメインチャンネルとLFEチャンネルの位相関係が合っているかをチェックするようにしてください。こうして制作されたソフトには「フェーズコントロール」のロゴをつけることで品質をアピールすることも出来ます。

サラウンド デザインの基礎と注意点についてお話しました。私は、ゲームのサラウンド制作が今後充実していけばいままでの映画やドラマ音楽とは異なった新たな発想のデザインが可能だと思います。特にユーザーとのインタラクティブ性という特徴を活かせば新たな表現が開拓できると思いますので是非皆さんの様々な挑戦に期待します。ゲームソフトは、日本が世界で通用する重要なソフト産業ですので、個々人やメーカ単位で孤立せず、こうした勉強会や情報交換そしてAESなどへの参画を通じて全体的なレベルアップをどんどん行って欲しいと思います。海外のゲームデザイナーは日本の動向に大きな関心をよせていますのでそのお膝元の皆さんがそうした自覚で仕事に取り組めばさらに発展していくことと思います。

染谷:有り難うございました。そうなんですよ! 今回のAESのゲームTCでも海外の皆さんは日本の動向に大変関心と敬意を表していましたので みなさん大いに誇りを持って制作していきましょう。

Q&A
Q:デモした中で最長の制作期間は?
A:オリジナル ビデオとして制作ものでPRE-MIXで3ヶ月FINAL MIXで1ヶ月半かけました。最後は腰が痛くなるくらい椅子に座りっぱなしでしたけど。
Q:バイクのロケ収録システムは?振動・風防対策など
A:サンケンのステレオマイクとDATの組み合わせで録音しています。風防対策はW-ウインドジャマーでさらに運転席の後ろに乗って体で風邪をよけながら録音しましたので、大変疲れました。振動対策は私の背中にバックパックにして背負い人間ショックアブソーバ状態でした。
山道での走行シーンはこれでは、体が持たないと思いワイアレス2波でとばし併走車で録音しました。
Q:次世代ゲーム機と新たなサウンドデザインの方向性
A:だんだん本体の性能が向上してきましたので、音質面での改善ははるかにやりやすくなります。いままで低サンプリング低ビットだから仕方がないとあきらめていたことも可能となります。課題は長時間高品質ディスクが登場してくる場合の内容と制作マンパワーをどこでバランスさせるかではないかと思っています。ゲームの特徴は映画のように映像が固定されているわけではなくユーザーとのインタラクティブ性で映像が多様に変化する点にあります。こうした場合それぞれに応じてサウンドのデザインをどうやっていくのか、例えば映像が右端へ寄ってしまった場合に全ての音もよせるのか?といったデザインの考え方に方針をもってデザインやプログラミングしなければならない点が課題です。
Q:PCタイプと専用機の今後?
A:だんだん境目が無くなってきました。逆にどう差別化できるのかなどを検討する時期かもしれません。
Q:ゲームのサウンドデザイナーを啓蒙するような賞の設置について
A:ゲームのサウンドデザインは、いまや大きな産業となりつつあり、その制作期間も予算も膨大なビジネスとなっています。その割にはサウンド デザインに対する正当な評価を行う場が無いのが現状で、なんとかステータスの向上が図れるような賞などがあればいいと思います。
Q:国の振興策とゲームデザイナーのレベルアップ
A:アジア各国は、ゲーム制作を自国の大きな産業基盤にしようと国をあげて支援策や地盤強化に取り組んでいます。また海外研修制度などもありスキルアップが図られています。こうした面でもまだまだ努力しなければならない点は多く残されているのが現状です。

おわりに
残りの時間では各自が制作したサラウンド クリップを再生しながらその制作過程やステムの作り方、苦労した点などを情報交換する場となりました。ゲームのサウンドデザインを行っている多くの人々がお互いの考え方やデモを聞くことで今後ともデザイナーのネットワークを広げていける期待が感じられました。特にデザイナーの皆さんがFoley録音の重要性に気づかれ、様々工夫してFoley素材を録音しているという話は大変興味深いものでした。
内容によっては大規模な機材のレンタルやロケーションも実施しており、制作期間や制作規模も並みの邦画をかるく越えるくらいの充実度であったことも驚きでした。次世代ディスクの登場は、より品質と制作マンパワーをどうバランスさせるかも今後の大きなテーマだと思います。

今回も冨田勲さんからうまし「菊姫」をご提供いただき一同感謝!そして会場とAFTER-5の屋上パーティをご用意頂いたTAC システム山本さんとスタッフのみなさんに改めてお礼申し上げます。(了)


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