February 18, 2008

第2回名古屋サラウンド勉強会報告 ベイヤー社5.1chサラウンドヘッドホンなど

By 安藤正道(中京テレビ映像企画 技術部)
■はじめに
2007年8月に開催して以来半年ぶりとなる第二回目「音ヤの会」主催・名古屋サラウンド勉強会。今回は、ヤマハ東京営業の山本さん、佐藤さん(ヤマハ名古屋)、阿部さん(ヤマハ名古屋)など皆さんの協力のもと以下のテーマで開催しました。
開催日時 : 平成20年2月18日(月)
場  所 : ヤマハ名古屋 7Fホール 名古屋市中区
時  間 : 13:00 ~ 18:30
会  費 : もちろん無料
特別ゲスト : 沢口 真生 塾長

■ 今回の勉強会のテーマ
今回は大きく4つありました。
1:サラウンド機器のデモ
2:家庭用サラウンドシステムのデモ
3:サラウンド寺子屋塾が平成20年1月で第50回を迎えたことで、今年は全国行脚を計画していることもあり、ぜひとも名古屋に沢口塾長に来て頂き、名古屋版・寺子屋塾を開きたい。
4: 在名各局及び関連プロダクション、サラウンドを愛するサウンドエンジニアーの交流をもっともっと深めていきたい。

■今回の内容
*DAW NUENDO 4 の解説&デモ 約1時間
*ヤマハ家庭用サラウンドシステム YSP-4000 の解説&デモ 約30分
*ベイヤー社 5.1chサラウンドヘッドホン の解説&デモ 約30分
*SRS社 サークルサラウンド方式の解説&デモ・作品例紹介 約1時間
*各局のサラウンド作品の試聴
*沢口塾長の最近の取り組みとサラウンドスケープの試聴

司会・進行の挨拶(筆者)



みなさん本日はお忙しい中、勉強会に参加して頂きありがとうございます。
本日の進行役、中京テレビ映像企画の安藤と申します。
お陰さまで約30名近くの多数の方に集まっていただき嬉しく思います。
今回は特別ゲストの方に来て頂いております。本日の特別ゲスト沢口塾長に挨拶をお願い致します。
  
沢口:みなさんこんにちは!ふだんは私のスタジオで行っている寺子屋塾ですが、きょうはヤマハさんに場所を提供していただき名古屋での持ち出しサラウンド塾ということになります。
今年2008年の1月で寺子屋塾も50回を迎えることが出来ました。最初は塾生数人でスタートしましたが、現在ではおよそ120名を超える参加者になりました。これもサラウンドを志すみなさんが全国で増えたということで嬉しく思います。私は、50回を記念して今年は全国5ヶ所くらいで寺子屋塾を開こうと考えていました。ちょうど、名古屋で勉強会があると聞いて、名古屋版・寺子屋塾を開こうじゃないかとメールでやり取りし今回に至りました。
ちょうど1月30日にCMのサラウンドを勉強しようという寺子屋分派「CMサラウンド研究会」が立ち上がり、そのエネルギーも全国規模で広めていきたいと考えています。

進行:それでは早速勉強会に移らさせていただきます。
まずはヤマハ名古屋CA営業の伊藤達也さんから、NUENDO4の解説とデモをお願いします。


伊藤:ヤマハ名古屋CA営業の伊藤です。
私からNUENDO4になっての新機能について説明します。
・ オートメーション機能
・ メディアベイ、データベース環境
・ 新しい編集機能
・ 38種類のリニューアルされたVSTプラグインソフト
・ MPEX3 ハイクォリティーのタイムストレッチ、ピッチシフト
・ その他の新機能
について実際NUENDO4の画面で実演と説明をします。
進行:ありがとうございました。ヤマハの伊藤さんでした。

*質疑応答
進行:続きまして、同じくヤマハ名古屋CA営業 阿部氏から、家庭用サラウンドシステム YSP-4000の解説とデモをお願いします。

   
阿部:こんにちはヤマハ名古屋CA営業の阿部です。
弊社のこのサラウンドシステムYSP-4000は、家庭用ではリヤにスピーカーを置くことが困難な場合でも、フロントのスピーカーだけで5,1chサラウンドの空間が得られるシステムです。
原理として、フロントスピーカーに40個の小型スピーカーが埋まっていて5チャンネルの音声をビーム化し、室内に放射する独自の「デジタル・サウンド・プロジェクター・テクノロジー」を採用。各方向へと音声を放射し、その放射されたものが壁で反射されサラウンド成分となるわけです。
それでは理論を説明より、実機がありますので音を聴いてみて下さい。
進行:それでは順番にお聞きになってください。なお順番を待つ間適宜休憩とさせていただきます。

15分休憩

進行:如何だったでしょうか、家庭用サラウンドシステムは。
進行:それでは続きまして、松田通商 営業の高須氏より、ベイヤー製5,1chサラウンドヘッドフォンの解説とデモをお願いします。

     
高須:松田通商の高須です。
さて弊社からはベイヤー製5,1chサラウンドヘッドフォン「HEADZONE PRO」を紹介します。
サラウンドヘッドフォンと呼ばれているものはいくつかのメーカーから発売していますが、このヘッドフォンは最新のDSPを搭載したベースユニットとヘッドトラッカーの付いたヘッドフォンで構成されています。このベースユニットとッドフォン間で赤外線通信をしており、ユーザーの頭の向きや角度に関らず、常に音源の位置を一定に保つようリアルタイムに調整するヘッドトラッキング機能を自由に設定することが出来ます。通常のヘッドフォンでは頭を右に動かしても音像は変化しない、しかしこのヘッドフォンでは赤外線通信で位置を検出し音像を変化させています。
これも説明するより、みなさん実際に聴いてみて下さい。

進行:それではみなさん試聴と15分の休憩にします。
進行:それでは続きまして、SRS社の日本代表である 加藤秀明氏・橋田裕造氏から、サークルサラウンド方式のエンコーダーデコーダについて解説とデモをお願いします。


加藤:こんにちはSRSの加藤です。
きょうはサークルサラウンド方式について説明します。みなさんの中で今日初めてSRSを知った方もいると思いますが、実はみなさんの生活を取り巻く中で非常に身近に存在しています。それは一部のメーカーさんを除き、液晶テレビ・カーステレオ・パソコン・などにSRSの技術が搭載されています。
加藤:それではサークルサラウンドについて説明します。
まず簡単に言ってしまえば、サラウンド対応ミキサーでL・R・C・LFE・Ls・Rsの6chの音声信号をサークルサラウンドのエンコーダーに通せば、LtとRt の音声信号に変換されます。このLt・Rtの信号はステレオ信号として扱える為、音声回線に制限のある場合など非常に便利です。
またこのLt・Rtの信号をデコーダーを通すことにより、L・R・C・LFE・Ls・Rsの6chのサラウンド信号に分離することが出来ます。
もうひとつこのデコーダーの特長として、ステレオ素材であれば、デコーダーを通すことにより擬似サラウンドとして分離が可能ということです。
実際の使用例として、FM放送、マラソン中継(各中継ポイントから伝送)、サッカー中継、ローカル各局でのお祭り中継などで使われています。
それではデモ試聴として、サークルサラウンドでエンコードされたCDを用意しましたので、デコーダーを通して聴いてください。*実際に放送された音源などを試聴

*質疑応答

進行:ありがとうございました。SRSの加藤さん橋田さんでした。

休憩20分

進行:それでは続きまして、名古屋各局の制作したサラウンド作品の試聴をしたいと思います。
まずは、メーテレさん(名古屋テレビ:テレ朝系列)お願いします。担当は、中瀬 武さんです。


中瀬:メーテレの中瀬です。前回の勉強会でもご覧頂きましたが、名古屋地区初のサラウンドレギュラー番組「ボンバーE」を観ていただきたいと思います。今回は参加者が多いということで再編集をしたものをどうぞ。

*視聴約10分

進行:ありがとうございました。メーテレの中瀬さんでした。
進行:続きまして、わたくし中京テレビ映像企画・安藤から、SRS サークルサラウンド・ポータブルエンコーダーを使ったミニドラマを紹介します。中京テレビ(日テレ系列)ではサラウンド制作がほとんどないことから、無いのなら自分で作ればいいと考え、ちょうど自分の後輩が結婚するということでビデオを制作。どうせ作るのであればサラウンドでやりたいと考えました。出来るだけコストを掛けずに通常のワークフローで行なうことを前提とし、サークルサラウンド方式を採用。もちろん脚本・演出・MAまでを自分が担当して作ったミニドラマです。ご覧下さい。
進行:それでは続いて NHKさんにお願いしたいと思います。担当は、岡本幹彦さんです。

岡本:NHK岡本です。NHK名古屋からは、サッカー中継、全国初(サラウンドでは)のハンドボール中継、
そして、この地方(愛知県新城市:鳳来寺山)で撮影をしたABU(アジア太平洋放送連合)「テレビ・エンターティンメント番組部門」で最優秀賞(ABU賞)を得たハイビジョン特集「冨田 勲夫 仏法僧に捧げるシンフォニー」をご覧ください。

*各素材5分程度試聴

進行:ありがとうございました。わたしもハイビジョン特集はリアルタイムで観ていましたが、サラウンド環境で観ておらず、今回サラウンドで聴けて非常に感動しました。NHK岡本さんでした。
進行:さあいよいよ最後の作品となってしまいました。
今回の特別ゲストであるサラウンド寺子屋塾・沢口真生塾長にお願いしたいと思います。



沢口:私からは去年2007年12月2日に東京・イタリア文化会館で行われた「サラウンドスケープ」という内容を紹介したいと思います。私のサラウンドデザイン(自然界の生音収録:海、山、鳥の声など)したものとダンスと音楽(生演奏:ヴァイオリン、チェロ、エレキギターなど)がコラボした作品です。
今回は生演奏ではなくて、私のスタジオで演奏してもらったものを聴いてもらいます。
この作品のコンセプトとして“癒し”をテーマに制作しています。最近の音は、どうしても情報量が増えてしまって疲れてしまう傾向にある。これを聴いて少しでも気持ちにゆとりが出ればよいと考えています。

*約20分の試聴

*寺子屋塾のみなさんはご存知だとは思いますが、念のため説明しておきます。
センターch:各楽器の演奏
L,R,Ls,Rs :自然の音

進行:ありがとうございました。沢口塾長のサラウンドスケープという新しいジャンルの作品でした。

* この後の懇親会で話をしていたら、この作品を試聴している間にほとんどの人が癒されて気持ち良く睡眠状態になったと聞きました。⇒ みなさん日頃の疲れがあって癒されたのではないでしょうか!!

進行:以上を持ちまして名古屋サラウンド勉強会・名古屋版寺子屋塾を終了したいと思います。長時間にわたってありがとうございました。
また、今回も場所と機材を提供して頂いた「ヤマハ名古屋」さんに深く深く感謝します。ありがとうございました。
そして、機材撤収とさせて頂きますが、「音ヤの会」主催ということで、みなさんケーブルの1本で結構ですので協力をお願いします。
進行:このあと懇親会を近場で行いたいと思います。



■おわりに
在名各局、プロダクションのエンジニアーたちもサラウンド環境の整った家庭で聴いている人はまだまだ少ないのが現状だと思います。しかし今回、最新の民生機器(家庭用サラウンドシステム)や5.1ヘッドフォンなど簡単に設置が可能なシステムなどものすごく関心があり、もしかしたら一般の家庭でもバーチャル的な環境から広がり、本格的なサラウンドシステムへと普及していくのかなと感じました。
懇親会でも約30名にもおよぶ会となりました。(途中参加も含め)この会で沢口塾長はじめみなさんと会話をする中、次回は東海3県だけではなく中部圏(静岡、福井、長野、富山、新潟、東海3県)として開催出来たらということで盛り上がりました。各局でサラウンドに情熱を持った方が大勢いらっしゃるので、これが1つになれば大きな力になると思います。

今年の「音ヤの会」幹事局のCBC(TBS系:中部日本放送)山田さん、亀井さんに参加希望者を募って頂きありがとうございました。また、NHK岡本さん、THK倉地さん、NBN服部さん、CTV長谷川さん連絡ありがとうございました。
また、何と言ってもメーカーさん、ヤマハさん、SRSさん、松田通商さんには大変お世話になりました。
次回の勉強会には中部圏の方々の参加をお願い申し上げます。(この記事を読まれた中部圏の方は是非参加をお待ちしております)
メール連絡先:ando@ctve.co.jp
中京TV安藤まで。

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February 15, 2008

2008年グラミー賞 サラウンド部門の結果

By Mick Sawaguchi 沢口真生

今年は5作品がノミネートされました。授賞はビートルズ サラウンド RE-MIXの"LOVE"です。サラウンドで聞くと彼らのハモニー感覚のすばらしさが再認識ですます。DVD-A/CDセット版です。

[ Best Surround Sound Album ]
* At War With The Mystics 5.1
The Flaming Lips & Dave Fridmann, surround mix engineers; The Flaming Lips & Dave Fridmann, surround mastering engineers; The Flaming Lips & Dave Fridmann, surround producers (The Flaming Lips) [Warner Bros.]

* Fear Of A Blank Planet
Steven Wilson, surround mix engineer; Darcy Proper, surround mastering engineer; Porcupine Tree, surround producers (Porcupine Tree) [Atlantic Records]

* Grechaninov: Passion Week
John Newton, surround mix engineer; Jonathan Cooper, surround mastering engineer; Blanton Alspaugh, surround producer (Charles Bruffy, Kansas City Chorale & Phoenix Bach Choir) [Chandos Records]

* Love
Paul Hicks, surround mix engineer; Tim Young, surround mastering engineer; George Martin & Giles Martin, surround producers (The Beatles) [Apple/Capitol Records]

* Vaughan Williams: Symphony No. 5; Fantasia On A Theme By Thomas Tallis; Serenade To Music
Michael Bishop, surround mix engineer; Michael Bishop, surround mastering engineer; Elaine Martone, surround producer (Robert Spano & Atlanta Symphony Orchestra & Chamber Chorus) [Telarc]

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